The Skeletal Jesters' Silly Ditties

骨の荒野で白骨の道化師が歌う

ベリネの昔話『太陽盗み』

Warlord Killingfrostの物語を語るなら、たまさかの例外的事情を除き、その冒頭に“太陽盗み”の説話を置かなくてはならない。…そう、ベリネの昔話を。
悠久の昔… ノーラスの昼はハート・オブ・ローが暖め、その夜は Drinalと Luclinの2人の姉妹が見守っていた。そして地底界では、ベリネと呼ばれる生き物が せっせと穴を掘っていた。彼らは穴を堀り、さらに掘り、いつまでも繰り進んでは 美しい輝きを放つ宝石を探した。
これらは、Brellが彼らの働きに対して授けた褒美だった。Brellが世界の奥底に埋め、ベリネのために残しておいた贈り物だった。ノーラスの地表を突き破ると、ベリネたちはまず大空を仰いだ。そして、自分たちの毛皮を温めてくれる光… 天に吊られたハート・オブ・ローに、その美しさに心を奪われたのだった。
光るもの、あるいは金を思わせる色をしたものをしまいこむように、彼らはそれをしまい込んで隠した。彼らにとって、それはこれまでに目にしたなかで いちばん大きな宝物だった。そして、彼らは信じていた。「こいつは地上の連中が崇拝の対象にしているものなのだ」と。
なので彼らはこう考えた。「だったら、自分たちで独り占めにしてしまえ」と。
 あるとき彼らは気がついた。夜の瞳が空に瞬く時間になると、太陽はいつも同じ巣穴で眠りに就くことを。そこで彼らはその穴に罠をしかけた。太陽が一日の務めを終えて、クタクタに疲れてねぐらに戻ってきたそのとき、彼らは太陽を捕まえたのだった。
 ハート・オブ・ローはベリネのものとなり、地底界の奥底に運ばれた。やがて朝が来たが、夜の眼は何にも邪魔されず、らんらんと輝き、またたいていた。ハート・オブ・ローのまばゆい光で目を閉じずともよかったからで、朝が来ようと昼になろうと、ノーラスを見渡す空にとどまったのだった。
長きにわたり、ベリネたちは「ハート・オブ・ロー」の秘密を開こうと努力した。けれど、どのようなな方法を使っても、どれだけ努力を重ねても、それは悲鳴をあげ、ベリネを焼いただけだった。
あるときついに、ベリネたちはこれを叩き割ることにした。だが渾身の力を込めたにも関わらず、わずかに表面がこぼれただけだった。最後の試みも徒労に終わった。とうとう彼らは、ハート・オブ・ローを地上に戻すことにした。
 ハート・オブ・ローはベリネに何ひとつ与えてくれかった。そのため「これは、Brellが約束してくれた大いなる力ではないのだ」と、遅まきながらベリネたちは気付いたのである。Brellの力は、ノーラスと地底界に広がる岩と、そして土の中にあった。「力は、空から来るものじゃない」 ベリネたちはこうつぶやいた。
 彼らは今も探している。Brellが約束してくれた、力を意味するパニクルを。けれども彼らは、今も太陽を手放していない。かけらをビンに入れ、蓋を閉め、大事に持っているのである。一度はベリネが主だったことを、太陽に忘れさせないために。

Elna Tsernin